2019年01月18日

諏訪湖に飛来した 大鷲グルを振り返って・・・総集編

2019年1月に入ってから宅建諏訪支部へ大鷲のグル情報の確認電話が頻繁にかかってきています。
「大きな鳥がいつものお気に入りの場所にとまっていた」という目撃情報も頂きましたが、まだ正式には確認されていないとの事です。

いつも写真を提供して下さっていた宮坂忠彦氏より寄稿がございましたのでご紹介いたします。(長文です)

  グルちゃん(大鷲)と私
私が初めてグルちゃん(諏訪湖の大鷲)を見たのは2006年に横河川河口で白鳥を撮っていた時に隣の人に教えてもらいましたが、諏訪湖の真ん中にいて私にはとても撮れそうになかった。当時は今のようにインターネットでグルちゃんの情報が流れていなかったのでどうやったら撮れるかわからず、新聞で越冬に来た写真を見てはうらやましいなと思っていました。当時は428(レンズ)で塩嶺に行きオオルリやキビタキなどの小鳥を撮りました。また328でコハクチョウを撮っていました。
諏訪湖に飛来した 大鷲グルを振り返って・・・総集編 
始めて撮れたのは立石公園に景色を撮りに行ったとき、となりにいたベテランのカメラマンからグルちゃんの飛行ルートを(その都度位置を教えてくれた)聞きながら30メートルくらいまで接近してねぐらに帰るのを興奮しながら撮りました。喜んで家で編集するとダイヤルモードが動いていて、プログラムモードで撮るのを間違って125分の1秒で撮り動きが止まらずがっかりした。それから何とか撮ろうと品川君や忍君などと一緒に諏訪湖の周りを探し、山にとまっていたグルちゃんを撮影していました。当時はまだ平日撮っている人は5,6人で加藤さんというカメラマンがいて、グルちゃんが大和の木にとまっているのを近所の人が野鳥の会の会長の林さんに電話すると、写真を撮ってもらいたいので加藤さんに電話をして民宿アヒルの前の諏訪湖端で散歩をしているグルファンのおばさんと冗談を言いながら撮りました。始めはどこを飛びどこにいるかわからなかったので情報を聞くとそこに車で飛んでいきました。道路の近くの木にとまると近くで撮りたいので登っていくとグルちゃんに見つかり、怒りの声を発して飛んだのでみんなに怒られました。428は重くて飛んできても間に合わないので品川君に貸して、328で撮りました。
 諏訪湖に飛来した 大鷲グルを振り返って・・・総集編
人に聞いて氷の上にいるグルちゃんの近くに行くと向こう岸に飛んでしまいこちらがぐるぐる回るだけなので待ち伏せをすることにしました。当時紅やと緑水荘のビルの間の風を利用して山に帰っていました。高浜から来ると予想をして待っていたが、豊田沖からきて見つけたらすぐ目の前でした。並木が2列あるので一度見失った。道路に出ると魚が重いのか地上15メートルくらいの距離でしたので尻尾のほうから追い、カメラのほうが先に行ってしまいましたが、その後もこんな血の滴り尾羽にも血がついている新鮮なニゴイを捕った写真はこれ以降もありません。ここを縄張りとするトンビをかわして上昇していきました。道路を通る車もおもわず止まり、2.2メートルもある空飛ぶ絨毯のようなグルちゃんに驚き「あれはなんだ」という驚きの声が聞こえてきました。
このころはまだ仕事も忙しかったので午後の2時間とか時間を決めて撮っていたので、立石公園に行ったらもう飛んで行ったと顔なじみのカメラマンに言われてずいぶん悔しい思いをしました。それから800mmのレンズを買いカメラも1ⅮⅡ、1ⅮⅢと変わり2012年に1DX(フルサイズのキャノンのカメラ)を買ってから山などに隠れてみえない以外はカメラで追えるようになりました。魚を捕るのをうまく撮ろうと4年前に三脚も変えて現在では機材は最高の選択で魚を捕るのを主に撮っていました。魚を捕るには風上に向かい捕らないと諏訪湖にたたきつけられます。高浜から砥川にかけて正面で撮れますが、ほかのカメラマンとは連絡を取らない(ほかの人が見えない山の影にいると教えます)ので飛び出る場所が見える湖北漁港の陰で(諏訪湖が凍ると撮れないので他の場所に移動する)大穴狙いで撮影していました。氷の張り具合でその後位置を変えます。グルちゃんも高齢になり別れがいつ来るかわからないのでその雄姿を残そうと頑張りました。
諏訪湖に飛来した 大鷲グルを振り返って・・・総集編 
立石公園には風が強いと下を通ります。風が強いと上を通ります。大変強いと角間のほうまで流されてねぐらに戻ります。また下諏訪側で魚を捕ると城北の沢や、高浜から旋回して山に向かうこともあります。インターネットでよく写真が流されるので遠くから来て諏訪の地理がわからないカメラマンは午後になると大勢来ます。諏訪湖から石彫公園を通りホテル街から上ってくるのが見られます。立石公園の主がいて、ほかにも見ている人がいるので教えてくれます。多い時にはカメラマンだけで30人以上います。その他の観光客も大勢いますので車が駐車場に入りきれないこともしばしばあります。ただ風が弱いと前にある藪の下を通るのでうまく見えないことも多い。諏訪の街と一緒に写真を撮れるので当たればいい写真が撮れますが、全体で見れば十分の一くらいの確立です。4時過ぎに来ると夕焼けの輝くゴールデングルが撮影できます。人に教えてもらえるので精神的に楽ですが、大勢で撮るので自分だけうまく撮れないとショックです。シーズンの写真が少ないと最後の頼みに登ります。立石公園は映画「君の名は」の聖地で観光客が平日でも多くいます。たまに大型バスまで来るようになりました。日本の夕日100選に、長野県では姥捨ての棚田と立石公園の2か所が選ばれています。5月のゴールデンウイークには駐車場に入りきらず道路にかなり止まっていました。
諏訪湖に飛来した 大鷲グルを振り返って・・・総集編 
青空に背中としっぽが白い大鷲はよく生えます。右の抜けた羽を補助するように新しい羽が寄ってくるのがわかります。
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トンビは魚を落とそうとしてよく追いかけます。カラスやハヤブサにも追いかけられます。
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氷の上で一番近かったのは白鳥丸が薄氷を割って出たとき魚が浮いてきたのか氷の淵で食べていたので次の便に乗りました。波に揺れて飛んだがくちばしに魚の血が付いている。
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諏訪湖には大きな鯉が死んで浮いてきます。氷から引き上げることができるのはグルちゃんだけなので内臓から食べますが満腹になるとトンビやカラスに譲ります。
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いつもはトンビやカラスが見つけて食べている魚を奪うことが多いです。氷が張ると魚を捕れなくなるので他の鳥の餌を奪うのが半分あります。
 
珍しいのは動物の腸が氷に挟まっていて立つと90センチある身長を伸ばして切って食べている姿です。多分トンビが先に見つけたエサでしょう。恨めしそうに見ています。
諏訪湖に飛来した 大鷲グルを振り返って・・・総集編諏訪湖に飛来した 大鷲グルを振り返って・・・総集編
木の上でもそうですが、食べ終わると肉片や血を落とすために「歯磨き」と呼んでいますがくちばしを磨きます。においがなくなるまで何回も磨きます。
諏訪湖に飛来した 大鷲グルを振り返って・・・総集編
これはカラスが見つけた魚を氷の上で奪った写真です。鳥の世界も生存競争が激しくて強いものにはかないません。だから大きな鯉が上がって食べきれないときには譲ります。
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生きた鴨を捕るのは残酷ですが氷が張ると魚が捕れないので襲います。一撃を食らって息絶え絶えの鴨を襲いました。
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本当は鴨をもって遠くに着氷した写真ですが捕ったように見えます。ビデオでは撮りましたが、群れから離れて注意力が散漫か、病気の鴨です。群れで飛んでいる鴨は小回りがきき群れで警戒しているので捕れません。
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氷が岸にだけ張ると死んだ鴨も魚も西風に乗って打ち上げられます。ほとんどカラスやトンビが先に見つけて食べているのを奪います。鴨を食べると3日くらい消化がかかるので諏訪湖に出てこないときがあります。猛禽類は腸が長いので1週間食べなくても生きられます。おなかがすいた時には諏訪湖の水を飲んで空腹を抑えています。
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富士山や八ヶ岳、北アルプスと撮ることができますが、グルちゃんはほとんど小さくしか撮れず残念です。高浜沖ではこのような写真が撮れます。
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近い木にとまるのは魚を運んで風が少ないときや、2月の終わりにシベリヤに帰るころには天気が暖かくなり風がなく疲れた時です。途中で飛ぶのが見えなくなると今までに止まったところを探します。青空に白い肩の羽が良く生えます。
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魚を持って近い木にとまりましたが人に近づかれてまた飛び出しました。
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木の上で食べるのは枝にかぶってうまく撮れません。木にとまっても5分くらい呼吸を整えないと食べられませんが、私が湖畔から到着するには20分くらいかかるのでほとんど食べ終わっています。木に魚を置いて最後は頭や骨まで折って全部食べます。
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爪の掛かりが悪るかったり、ほかの鳥に襲われてばらすこともありますが、拾い直しはしない。
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一番の敵はオジロワシです。1年のオジロワシは追い払われる一方でした。
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5歳くらいになると後ろに回られることもありますが、やはりグルちゃんは強い。
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大鷲は4年で成長になりますが、オジロワシは7年かかります。尾羽が白くなったオジロワシも成長になりツガイで狩りをすると諏訪湖まで来ないかもしれない。
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魚を運ぶグルちゃんも格好いです。最近はブラックバスが多くなっています。捕ってもまずくて売れないので冷凍庫に入れて処分できないものを冬諏訪湖に捨てるそうです。また魚のえさになるか猛禽類に食べられるか、カワウに食べられるかです。
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2014年からは魚とりを主に撮るようになりました。天気がいい日に正面から魚を捕るグルちゃんは一番カッコがいい。氷が張ると盗賊になるのでかっこが悪い。
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近いと迫力があります。これは30-40メートルの距離で撮りました。目の力、集中力が強く伝わってきます。
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こんな大きなブラックバスを捕れるのはグルちゃんしかいません。湖によく生えます。
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うまく落とさないように山まで運んでください。
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ちょっと遠いですが、ほかの鳥に追われて危ない時には空中で食べます。
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魚を発見すると木の葉のように舞い降りて、十数メートル湖面からは水平に獲物をめがけて飛びます。昔は錐もみ下りしたが、今は木の葉のように舞い降ります。
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 風上に向かうように(西)飛行位置を調整します。
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本当に格好がいいです。
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夕方遅く鉄塔にとまったら、カラスの大群が電線に飛んできたので、慌てて飛びだしました。
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雪が降ってもおなかがすいていれば猟に出かけます。自分の力で捕らなければ生きていけません。
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大きな魚を大勢の鳥で食べ、3日目には骨だけになりましたが、頭の奥の肉片を食べているときに突風が吹いて思わず頭を持って飛びました。
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岸の近くに落ちていた魚を食べ終わって、人が集まってきたので落ち着かなくなり飛び出しそうです。カラスも早く行けと泣いて催促しています。
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この5年くらいグルちゃんを追い掛け回すので近くに行くと目が合うようになりました。諏訪湖の氷の範囲が広くなるに従いエサが捕れなくてかわいそうですが、餌付けはしていけないので心が痛みます。来た当初はカメラマンも少なくてそれほど注目されていないので高木の山の下から諏訪湖に餌を捕りに飛び、湖畔の電柱の上にとまったこともあったそうですが、今では休日ともなると立石に60人、湖畔端にも散歩をしながら見る人も含めて50人ほどがグルちゃん1羽を見ています。「スターはつらいよ」と心の中では悪いと思っていても、近い木にとまれば10人以上見物人ができて私も遅れないように駆け付けます。人間の女性を追い掛け回したらストーカー行為で逮捕されても仕方ないと思いながらもやめられません。グルちゃんも大変気疲れするでしょう。人間なら(嫌いだからもう会わないで)といえば終わるのだが、グルちゃんは連続19期も諏訪湖に越冬に来てくれたので諏訪の街が好きだったかもしれない。おそらくロシアのカムチャッカ湾沿いの30メートルもある高い木に巣を作り北方4島を渡って釧路に飛来して遡上して卵を産んで死んだサケを食べて各地の越冬地に向かいます。グルちゃんは日本海沿いに千曲川をさかのぼって諏訪湖に飛来していると考えられています。一度には飛んで来られないので魚を捕り食べながら来ることでしょう。大鷲は年を取ったものほど強いので、幼鳥の時にいじめられてこんなに遠くまで来てくれて冬の諏訪湖のスターとして75日近く楽しませてくれてありがとうございました。私も寒い諏訪湖の強風にさらされて大変でしたが、恐竜の子孫であるグルちゃんの見事な狩りを見させてもらいいつでもあなたが目に浮かびます。この2年くらいとった魚も近くの木までしか運べず、随所に衰えを感じていました。動物園では54歳まで長生きした大鷲がいるが、環境の厳しい自然界では20から25歳が平均寿命と言われています。
諏訪湖に飛来した 大鷲グルを振り返って・・・総集編 
魚を持って山に駆け上がってきたときも目があいました。
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山で撮影していた時に上空20メートルのところで羽音と笑い声が聞こえました。いつも追いかけているので襲われると身構えましたが、後で編集すると木の上で頭をかいて気持ちよさそうに笑うと同じ笑い声でした。諏訪湖に来なくてもシベリヤで長生きをしていると信じたい思いでいっぱいです。

2019年1月15日 宮坂忠彦






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Posted by 宅建協会 諏訪支部 ■ 諏訪圏移住交流推進事業連絡会 事務局 ■ at 09:42│Comments(0)大鷲 グル
 
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